2017/9/24 『幻影の書』
【走った距離】 28.27km
【今月の累積距離】 258.73km
【ペース】 平均 6'03"/km、 最高 5'27"/km
【天気】 晴れのち曇り
【気温】 最高 26℃、最低 24℃
【体重】 63.3kg
【コース】自宅~毛馬
【コメント】
『幻影の書』 ”The Book of Illusions"
ポール・オースターの小説第10作。
前々作の『ミスター・ヴァーティゴ』では空を飛ぶ少年が主人公となり、
前作の『ティンブクトゥ』では犬が主人公となっていたが、
本作ではもとのポール・オースターらしいモティーフ;
「過去の人物の人生を辿ることによって、自己喪失していた作家が自らを発見する」
に戻った。
主人公は二人。
忽然と姿を消した謎の無声映画の俳優と家族を飛行機事故で亡くた大学講師。
ポールオースターのテーマである自己喪失と自己省察(私とは何か)をめぐるストーリー。
家族を飛行機事故で亡くした大学教授のジンマーは精神のバランスを崩していた。
偶然に見た無声映画の俳優ヘクター・マンに興味を持ち、
作品を研究することによって立ち直る手がかりをつかむ。
研究成果を出版すると何十年も前に死んだと思っていたヘクターの妻から
ヘクターはまだニューメキシコで存命中で、ジンマーに会いたいという手紙が届いた。
ニューメキシコにヘクターを訪れる旅は悲劇的な結果に終わったが、
そのたびでの経験でジンマーは死者の世界から戻ることができた。
俳優のヘクター・マンは栄光の絶頂のときに、若い女性を妊娠させ、裏切り、
死なせてしまった。ヘクターはハリウッドから姿を消し、自殺を図るが死にきれず、
残りの人生を贖罪に充てる。
事情を知らない死んだ娘の家族に尽くし、性産業に身を落とす。
銀行強盗の人質の身代わりとなって肺を撃たれる。
銃弾の傷の烈しい痛みの中で九死に一生を得るが贖罪意識は消えない。
子供がハチに刺されて死んでしまい強い悲しみに襲われるが、
それでも贖罪意識は消えない。
自分が死んだら作品を公表せずに焼き捨てることを条件に
自宅で映画を製作し、精神の安静を得る。
ポールオースターは自ら映画を2本製作した
この経験が実際に映画を見ているような本書の映画作品の描写に活かされている。
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