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自省録2

2016/5/13 チェルノブイリの祈り7

【走った距離】  6.26km
【今月の累積距離】  190.8km
【ペース】 平均 6'32"/km、 最高 6'10"/km
【天気】 快晴
【気温】 最高 25℃、最低 20℃
【体重】  64.9kg
【コース】
淀駅~会社
【コメント】
事故処理作業者

ぼくは原子炉に行きたかった。「あわてるな」といわれた。
「除隊前には全員が原子炉の屋上に追いやられるんだ」。
ぼくたちは6ヶ月間任務についた。
そして5ヶ月がすぎたとき、実際に配置がえがあり、こんどは原子炉のすぐそばになった。
冗談もとばし、まじめな話もした。ほら、屋根を通過させられるぞ。
このあと5年は生きていたいぜ。7年とか、10年とか。騒ぎもパニックもなし。
「志願兵諸君、前へ進め!」。全中隊が前進。
司令官の前にはモニターテレビかあり、スイッチを入れると原子炉の屋上が映しだされる。
黒鉛の破片、溶けたアスファルト。
「諸君、ほらあそこに破片が落ちている。かたづけてくれたまえ。
それから、ほら、こっちの四角いところに穴をあけてくれ」。
時間は40秒から50秒。走っていき、投げすて、ひきかえす。
ひとりが胆架にいっぱいつみこみ、つぎの者が投げすてた。
あそこ、原子炉のなかへ。

新聞に書かれていた。
「原子炉上空の空気はきれいだ」読みながら笑い、ののしりましたよ。
「空気がきれい」なのに、ぼくたちはとんでもないほどの放射線量をとりこんでいるんだ。
線量計が支給されました。ひとつは5レントゲン用で、瞬時にしてふりきれた。
万年筆のような二つめは200レントゲン用で、またふりきれた。
5年間は子どもを作るなといわれました。
もし、ぼくたちが5年間生きていられたらの話ですよ。はっはっは! 
冗談はいろいろ。でも、騒ぎもパニックもなし。
5年か……。、ぼくはもう10年生きた。はっはっは!
表彰状をもらった。ぼくは2枚。

ぼくたちの隊にコックがいた。
そいつはとてもおびえて、テントじゃなく、倉庫で寝泊まりしていた。
油やコンビーフの入ったダンボールの近くに穴を掘り、マットレスと枕を持ちこんだ。
地下で寝泊まりしていたんです。命令書が送られてきた。
新しく班を編成し、全員を屋上にやれ。ところが、もう全員が屋上に行ったのです。
だれかさがせ! それで、このコックもつれていかれたんです。
たった1回のぼっただけなのに、彼は二級身体障害者です。
しょっちゅうぼくに電話をくれる。
連絡は絶やしません、支えになるのは仲間と自分たちの記憶です。
ぼくたちが生きているうちは、ぼくたちの記憶も生きつづけます。そう書いてください。

新聞はうそです。ぼくは新聞で読んだことがない。
ぼくたちが自分たちの鉛のシャツやパンツを縫ったという記事を。
ぼくたちに支給されたのは鉛を吹きつけたゴム製の上着でした。
けれど、鉛のパンツを自分たちでこしらえた。
このことには気をつけていたのです。
ある村で2軒の秘密のデートハウスを見せてもらった。
家からはなされ、6ヶ月も女っ気なしの男たち、極端な状況です。
みんな押し寄せていました。そこの娘たちも、もうすぐ死んでしまうと泣いていた。
鉛のパンツ……。、ズボンのうえにはいたんです。書いてください。
いろいろ小話をしました。まあ、ひとつ聞いてください。
アメリカ製のロボットが屋上に送りこまれました。5分間仕事をしたら、ストップ。
日本製のロボットも5分間仕事をして、ストップ。
ロシア製のロボットは2時間仕事をしています。
無線機で指令がとびます。
「兵士イワノフ、2時間後に下におりて一服してよろしい」。はっはっは!

発病したのが2人。ひとりは「行かせてくれ」と自分からいったやつ。
彼は、その日すでに一度屋上に行っていました。尊敬のまなざし。
報奨金は500ルーブル。
もうひとりは屋上で穴を開けていたやつです。
退去の時間だというのに、穴を開けている。ぼくたちは手をふりまわす。
「おりでこい!」。やつはさっとひざまずき、ガンガンこわしている。
屋上のその場所に穴をおける必要があったのです。
ダストシュートをはめ込んでごみを落とせるように。やつは穴をあけて、立ちあがった。
報奨金は1000ルーブル。当時はこの金でオートバイが2台買えたんです。
やつは現在一級身体障害者です。しかし、恐怖の代償はすぐに払ってくれた。

除隊。ぼくたちは車に乗りこむ。汚染地を走っているあいだじゅう警笛を鳴らしつづけた。
あの日々をふりかえってみる。
ぼくは、なにかととなり合わせだった、なにかファンタスティックなものと。うまくいえない。
〈巨大〉とか〈ファンタスティック〉、こんなことはでもぜんぶは伝えきれない。
ふしぎな感情。どんな感情かって? こんな感情は、恋愛でも味わったことはありません。




by totsutaki3 | 2016-05-13 22:21 | 読書 | Comments(0)

市民ランナーの市井の日常。 日々の出来事、感動を忘れないために
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