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自省録2

2017/5/18 ミュシャ展

【走った距離】  0km
【今月の累積距離】  304.23km
【天気】 快晴
【気温】 最高 25℃、最低 18℃
【コメント】
 アルフォンス・ミュシャ(ムハ)はアール・ヌーボーを代表するチェコの芸術家。
 ミュシャはフランス語読み、チェコ語ではムハ。
 出世作は1895年、舞台女優サラ・ベルナールの芝居のために
 作成した「ジスモンダ」のポスター。
 当時無名の挿絵画家だったミュシャが製作して大好評を博し、
 一夜にしてアール・ヌーヴォーの旗手として時代の寵児となった。
 1860年生まれなのでフィンセント・ゴッホの7歳年下、
 グスタフ・クリムトの2歳年上。
 ゴッホ、クリムトと同世代。

 「ジスモンダ」
 
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 ムハの作品というと下の「黄道12宮」のような寓意的な女性のポスターのイメージが強い
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 ムハは商業的成功をおさめた後、50歳で故国チェコに帰国し、
 16年の年月をかけて大作「スラヴ叙事詩」の連作20作に打ち込んだ。
 私は6年前にプラハを訪れ、ムハ美術館で「スラヴ叙事詩」の習作を見て、
 装飾画やポスター画家だと思っていたムハが情念の籠った絵を描いているのを
 見て衝撃を受けた。ただしそのころは「スラヴ叙事詩」は辺鄙な場所で
 展示されていたため鑑賞は叶わぬ夢と考えていた。私にとっては
 ヴェッキオ宮殿に塗りこまれたダ・ヴィンチの「アンギアーリの戦い」と
 ミケランジェロの「カスチーナの戦い」を見ることができないように、
 ナチスによって焼かれたクリムトの天井画の実物を見ることができないように、
 「スラヴ叙事詩」の鑑賞も叶わぬ夢とあきらめていた。

 ムハ美術館
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 2011年に見たプラハ市民会館 市長の間のムハの天井画と壁画
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 こちらも2011年に見たプラハ城内のヴィート大聖堂のステンドグラス
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 今回20作のすべてが東京の国立新美術館で6月5日まで展示されていることを知り、
 年休をとって始発電車で鑑賞に出かけた
 
 開館前に行った甲斐があり、開館直後は貸切。
 ゆっくりと思い入れの深い「スラヴ叙事詩」を鑑賞。

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 国内の美術館では珍しい配慮で、20点中5点は写真撮影OK。

 イヴァンチッチェでの聖書の印刷 — 神は我らに言葉を与え給うた
 
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ロシアの農奴解放の日 — 自由な労働は国家の基盤である
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聖山アトス — オーソドクス教会のヴァチカン
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スラヴの菩提樹の下で誓いを立てる若者たち — スラヴ民族の目覚め
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スラヴの歴史の神格化 — 人類のためのスラヴ民族
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 大キャンバスに描かれた、ムハらしいパステル調の美しい色彩と
 大胆な構図のパノラマ。 
実際に目にした「スラヴ叙事詩」は期待にたがわぬ素晴らしい作品群。
装飾画やポスターとの共通点は美しい色彩だけで、
それらの制約から解放され、大キャンバスに描かれた作品の、
ダイナミックな構図、ドラマティックな主題、パッショナルな描写で圧倒された。
見に行って本当に良かった。
 大キャンバスの連作物としてはルーヴル美術館所蔵のピーター・ルーベンスの
「マリー・ド・メディシスの生涯」の連作が有名だが、「スラヴ叙事詩」の方が真摯である。
 お金のための作品ではなく、作品によるスラブ民族意識の復興をめざし、
 ムハは後半生をこの作品にささげた。
 チェコは古くはビザンチン帝国、神聖ローマ帝国、ローマカトリック教会から迫害を受け、
 その後は新興のドイツ、ロシア帝国、オスマン帝国の迫害を受けた。
 大国に支配され続けた小国だけに民族としての誇りを持たせたかったのだろう。
 絵の中にムハの魂が込められている。
その後、ムハは第2次大戦中にチェコを占領したナチスの拷問に遭い
天寿を全うできずに他界
ムハが心血を注いだ「スラブ叙事詩」も共産主義体制化では
日の目を見ることがかなった
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「スラヴ叙事詩」以外の展示としては前述の「ジスモンダ」「黄道12宮」の他に
 ムハのチェコ帰郷の翌年に制作した「ヒヤシンス姫」や

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 私の好きな「クォ・ヴァディス」が展示されていた。
 「クォ・ヴァディス」を今回初めて実物を見ることができたので嬉しかった。
 スペクタクルな場面多いポーランドの作家ヘンリク・シェンキェヴィチの
 歴史小説「クォ・ヴァディス」のなかで、なぜムハが
 地味なペトロニウスに恋する少女エウニスのシーンを選んだのかが興味深い。
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  開館1時間後の11時には展示室がかなりの混雑になっていた。
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 しかし入館待ちの人はさらに多かった。平日にもかかわらず大変な人気である。
 
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 聖地も巡礼しました。
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by totsutaki3 | 2017-05-18 22:57 | 絵画

市民ランナーの市井の日常。 日々の出来事、感動を忘れないために
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