2017/6/19 火花
【走った距離】 0km
【今月の累積距離】 267.91km
【天気】 快晴
【気温】 最高 31℃、最低 24℃
【体重】 64.5kg
【コメント】
寝屋川の誇る芥川賞作家 又吉 直樹の受賞作。
枚方図書館で予約してから順番が回ってくるまで1年以上待った。
あまり期待していなかったが予想以上に面白かった。
下積み芸人の世界。
自らの存在意義を再認識するために漫才を批評する。
それが自らを否定することになることを知りながら。
批評家になっては漫才はできないが、批評家にならないと自分を支えられない。
「漫才師である以上、面白い漫才をすることが絶対的な使命であることは
当然であって、あらゆる日常の行動は全て漫才のためにあんねん。
だから、お前の行動の全ては既に漫才の一部やねん。
漫才は面白いことを想像できる人のものではなく、
偽りのない純正の人間の姿を晒すもんやねん。
つまりは賢い、には出来ひんくて、
本物の阿呆と自分は真っ当であると信じている
阿呆によってのみ実現できるもんやねん」
「平凡かどうかだけで判断すると、
非凡アピール大会になり下がってしまわへんか?
ほんで、反対に新しいものを端から否定すると、
技術アピール大会になり下がってしまわへんか?
ほんで両方を上手く混ぜてるものだけをよしとすると
バランス大会になり下がってしまわへんか?」
「確かにそうやと思います」僕は率直に同意した。
「一つだけの基準を持って何かを測ろうとすると眼がくらんでまうねん。
たとえば、共感至上主義の奴達って気持ち悪いやん?
共感って確かに心地いいねんけど、共感の部分が最も目立つもので、
飛び抜けて面白いものって皆無やもんな。阿呆でもわかるから、
依存しやすい強い感覚ではあるんやけど、
創作に携わる人間はどこかで卒業せなあかんやろ。
他のもの一切見えへんようになるからな。
これは自分に対する戒めやねんけどな」
と一語一語噛みしめるように言った。
「何かを批評するのって難しいですよね」
「論理的に批評するのは難しいな。
新しい方法論が出現すると、それを実践する人間が複数出てくる。
発展させたり改良する人もおるやろう。
その一方でそれを流行りと断定したがる奴が出てくる。
そういう奴は大概が老けてる。だから、妙に説得力がある。
そしたら、その方法を使うことが邪道と見なされる。
そしたら、今度は表現上それが必要な場合であっても、
その方法を使わない選択をするようになる。もしかしたら、
その方法を避けることで新しい表現が生まれる可能性はあるかもしらんけど、
新しい発想というのは刺激的な快感をもたらしてくれるけど、
所詮は途上やねん。せやから面白いねんけど、成熟させずに捨てるなんて、
ごっつもったいないで。
新しく生まれる発想の快感だけ求めるのって、それは伸び始めた枝を
途中でポキンと折る行為に等しいねん。
だから、鬱陶しい年寄りの批評家が多い分野はほとんどが衰退する。
確立するまで、待てばいいのにな。表現方法の一つとして、
大木の太い一本の枝になるまで。
そうしたら、もっと色んなことが面白くなんのにな。
枝を落として、幹だけに栄養が行くようにしてるつもりなんやろうけど。
そういう側面もあるんかもしらんけど、遠くからは見えへんし実も生らへん。
だから、これだけは断言できるねんけど、
批評をやり始めたら漫才師としての能力は絶対に落ちる」
【今月の累積距離】 267.91km
【天気】 快晴
【気温】 最高 31℃、最低 24℃
【体重】 64.5kg
【コメント】
寝屋川の誇る芥川賞作家 又吉 直樹の受賞作。
枚方図書館で予約してから順番が回ってくるまで1年以上待った。
あまり期待していなかったが予想以上に面白かった。
下積み芸人の世界。
自らの存在意義を再認識するために漫才を批評する。
それが自らを否定することになることを知りながら。
批評家になっては漫才はできないが、批評家にならないと自分を支えられない。
「漫才師である以上、面白い漫才をすることが絶対的な使命であることは
当然であって、あらゆる日常の行動は全て漫才のためにあんねん。
だから、お前の行動の全ては既に漫才の一部やねん。
漫才は面白いことを想像できる人のものではなく、
偽りのない純正の人間の姿を晒すもんやねん。
つまりは賢い、には出来ひんくて、
本物の阿呆と自分は真っ当であると信じている
阿呆によってのみ実現できるもんやねん」
「平凡かどうかだけで判断すると、
非凡アピール大会になり下がってしまわへんか?
ほんで、反対に新しいものを端から否定すると、
技術アピール大会になり下がってしまわへんか?
ほんで両方を上手く混ぜてるものだけをよしとすると
バランス大会になり下がってしまわへんか?」
「確かにそうやと思います」僕は率直に同意した。
「一つだけの基準を持って何かを測ろうとすると眼がくらんでまうねん。
たとえば、共感至上主義の奴達って気持ち悪いやん?
共感って確かに心地いいねんけど、共感の部分が最も目立つもので、
飛び抜けて面白いものって皆無やもんな。阿呆でもわかるから、
依存しやすい強い感覚ではあるんやけど、
創作に携わる人間はどこかで卒業せなあかんやろ。
他のもの一切見えへんようになるからな。
これは自分に対する戒めやねんけどな」
と一語一語噛みしめるように言った。
「何かを批評するのって難しいですよね」
「論理的に批評するのは難しいな。
新しい方法論が出現すると、それを実践する人間が複数出てくる。
発展させたり改良する人もおるやろう。
その一方でそれを流行りと断定したがる奴が出てくる。
そういう奴は大概が老けてる。だから、妙に説得力がある。
そしたら、その方法を使うことが邪道と見なされる。
そしたら、今度は表現上それが必要な場合であっても、
その方法を使わない選択をするようになる。もしかしたら、
その方法を避けることで新しい表現が生まれる可能性はあるかもしらんけど、
新しい発想というのは刺激的な快感をもたらしてくれるけど、
所詮は途上やねん。せやから面白いねんけど、成熟させずに捨てるなんて、
ごっつもったいないで。
新しく生まれる発想の快感だけ求めるのって、それは伸び始めた枝を
途中でポキンと折る行為に等しいねん。
だから、鬱陶しい年寄りの批評家が多い分野はほとんどが衰退する。
確立するまで、待てばいいのにな。表現方法の一つとして、
大木の太い一本の枝になるまで。
そうしたら、もっと色んなことが面白くなんのにな。
枝を落として、幹だけに栄養が行くようにしてるつもりなんやろうけど。
そういう側面もあるんかもしらんけど、遠くからは見えへんし実も生らへん。
だから、これだけは断言できるねんけど、
批評をやり始めたら漫才師としての能力は絶対に落ちる」
by totsutaki3
| 2017-06-19 21:54
| 読書
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